日経ビジネスオンラインに意外と知らない「父の離婚歴」という記事があり、興味深い相続事例がいくつか載っていました。その中から一つの事例を紹介します。見知らぬ兄弟がいた事例です。
相続人の範囲は法律で決まっています。法律で決められた相続人を法定相続人といいます。故人に離婚歴があった場合、前妻の子も前々妻の子も法定相続人です。離婚しても法律上の親子関係は継続するからです。
法律上の子をすべて特定するには戸籍を洗い出す必要があります。少なくとも故人が子供を作れる年齢程度までさかのぼらなければなりません。法定相続人全員を戸籍で特定しないと不動産の名義を変えられません。銀行から預金を引き出すこともできません。
不動産の名義変更や預金の引き出しには遺産分割協議書が必要です。遺産分割協議は法定相続人全員で行わなければなりません。このとき、法定相続人全員の実印と印鑑証明書が必要になります。見ず知らずの兄弟を見つけるだけでは足りないのです。
法定相続人の中に行方不明者がいることがあります。行方不明者を放って遺産分割協議する訳にはいきません。不在者財産管理人を選任する必要あります。具体的には、必要書類を揃えた上で家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てます。